オランダ全土を結ぶ自転車道ネットワーク
オランダは九州くらいの広さで、道路総延長は約110,000km。それに対して自転車道総延長は19,000km。道の2割近くは自転車道なのだ。
オランダで書店に行くと、様々な自転車用の地図が売られている。例えば、次の写真ものはA5版くらいのサイズ。全190ページでオランダ全土を網羅している。私自身が現地でこれを見ながら走っていたので、少し汚くなっているが……。
中身の地図の一部を拡大したものが次の写真。オランダ第2の都市ロッテルダムから、20基近くの風車が見られる観光地キンデルダイクにかけてのあたりだ。
赤の実線が「全国サイクルルート」、紫の点線(太いもの、細いもの)、黒の点線など凡例(オランダ語)を翻訳してみても違いがはっきりしないのだが、すべて自転車道だ。このあたりが特に自転車道が多いのではなく、オランダ全土ほぼどこでもこれくらいの密度で自転車道がある。船のマークはオランダらしく船で川を渡る所。当然船には自転車も載せられる。念のため書くと、紫の実線は自転車道ではなく車用の高速道路である。
実際に走ってみると、道の状況は専用道、車の道の端が色分けされたもの、狭い道で歩行者と共用などいろいろ。
次の写真は、車の幹線道路と並行して走る文句の付けようがないほどの素晴らしい道だ。中央線で左右の分離もされている。自転車専用で歩行者も歩くこと事はできない。
交差点では安全のためスピードを落とすようにハンプ(デコボコ)が設けられていることもある。
次は、車道の端が色分けされた道。この先で車道を横断して専用道に入るのが見える。
次はキンデルダイクの風車が見られる道。歩行者と共用だ。風車の見学は車ではできず、徒歩か自転車になる。
ただし、自転車道のほとんどは昔からある道を利用したものなので、上の地図を見ればわかるように非常に複雑でわかりにくい。遠回りになる所もある。それを補うため、様々な標識が整備されている。例えば次のような目的地ごとの方向と距離が書かれた標識があちこちに立っている。
また、上の地図の表紙内右下に掲載されている地図を見るとわかりやすいが、地図の上にいくつか、黄緑の丸の中に数字が書かれていることがわかるだろう。その場所に行くと、表紙内の右側にあるような、○に数字と矢印が書かれた標識がある。要するに地図内のある番号の方へ行きたければ、同じ番号の標識に従えばいいということだ。
他に、次のような案内看板もよく見かける。
このようにいろいろ考えられてはいるのだが、それでも交差点ごとに地図とにらめっこしながらでないと走れない。すぐに道を間違えてしまう。かといって道を大幅に作り直すこともできないので、悩ましい所だろう。また、車の道の近くに自転車道がある場合、なんでもない普通の車道なのに自転車通行禁止の標識が立っている事がある。自転車道を走れということだとだろうが、うっかり気付かず走ってしまい、車で走る人に怒られることもあった。
問題もあるが、ヨーロッパの他の国と比べても自転車道の整備状況はオランダがダントツ。自転車利用者の数もダントツでやはり世界一の自転車先進国と言えるだろう。
執筆者
合同会社自転車ライフプロジェクト 代表 藤本芳一
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